#Microsoft Cognitive Services を使った表情分析 Web アプリ
Microsoft Cognitive Services は 画像、文章、言語、情報を処理する機能を API 経由で利用できるサービスです。
Cognitive Services の一つである Emotion API では、画像を分析して人間の顔やその表情を数値化し、結果を JSON 形式で取得することができます。
今回は オンライン画像 (URL) を入力すると、顔の表示位置と表情分析スコアを表示する Web アプリを作成します。JavaScript (jQuery 使用) で記述しており、Web サーバーがなくてもローカルでも実行&動作確認ができます。
C#クラスライブラリーから Emotion API を呼び出す方法については、Emotion API × Bot Framework 編 または Emotion API × .NET Core 編 をご覧ください。
#手順
- Cognitive Services 利用に必要な環境、サブスクリプションの準備
- 開発環境
- Microsoft アカウント
- Cognitive Services サブスクリプション
- ハンズオンファイル一式
- Web アプリの実装
- ハンズオンファイルの確認
- 表示ページの作成
- Emotion API を 呼び出すロジックの作成
#Cognitive Services 利用に必要な環境、サブスクリプションの準備
##開発環境
今回は Visual Studio Code を使用します。もちろんご自分の コーディングツールや Web 開発環境でも大丈夫です。
インストール方法は Visual Studio Code のインストール方法 をご覧ください。
##Microsoft アカウント
次のステップで行うサブスクリプションの申し込みに必要ですので、持っていない場合は取得しておきます。
##Cognitive Services サブスクリプション
試用は無料ですが、こちらの手順でサブスクリプション申し込みが必要です。
申し込み方法は Microsoft Cognitive Services サブスクリプション申し込み編: 2017年5月版 をご覧ください。
##ハンズオンファイル一式
今回作成する Web アプリ は下記のようなシンプルな構成になっています。
- index.html
- css
- site.css
- scripts
- script.js
- jquery-3.1.0.min.js
- image
- Rectangle.png //認識された顔の位置を表示するための正方形(透過png)
一式ダウンロード(zipファイル) からダウンロードして、ZIPを展開してローカルの適当な位置に配置します。
展開した後、念のため読み取り専用属性を外しておきます。WindowsOS ではフォルダーを右クリックして プロパティ を表示して、読み取り専用 のチェックボックスを外して OK をクリックします。
#Web アプリの実装
以下、アプリの実装部分を記述していきます。
##ハンズオンファイルの確認
Visual Studio Code を起動し、上部ツールバーの [ファイル] → [フォルダーを開く] をクリックします。
ダウンロードして準備した EmotionWeb フォルダーまで移動して選択し、[フォルダーの選択] をクリックして確定します。
EmotionWeb フォルダーの内容が表示されるのを確認してください。
これらのファイルをベースにコードを記述していきます。
##表示ページの作成 (index.html, site.css)
###index.html の編集
index.html をクリックしてエディター画面に表示します。
head 部分には CSS および JavaScript ファイルが挿入されています。
<head>
<meta http-equiv="Content-Type" content="text/html; charset=utf-8"/>
<title>Emotion API Sample</title>
<link rel="stylesheet" href="css/site.css">
<script src="scripts/jquery-3.1.0.min.js"></script>
<script src="scripts/script.js"></script>
</head>
body 本体に画像URLを入力する TextBox と、画像および分析結果を表示する部分を、以下の通り記述します。
<body>
<div>
<h1>Microsoft Cognitive Services</h1>
<h2>Emotion API Sample</h2>
<!--画像のURLを入力-->
<input type="url" id="imageUrlTextbox" class="urlinput">
</div>
<table>
<tr>
<td class="OutputTh">
<!--出力結果-->
<div id="OutputDiv">Output</div>
</td>
<td>
<!--出力画像-->
<div id="PhotoDiv">
<img id="ImageToAnalyze">
<img src="image/Rectangle.png" id="Rectangle">
</div>
</td>
</tr>
</table>
</body>
上部ツールバーの [ファイル]→[保存] をクリック (または Ctrl+S) して index.html を保存します。
###site.css の編集
site.css をクリックしてエディター画面に表示します。
body 部分に font-family が指定されています。
body
{
font-family: "Yu Gothic"; /* 環境に合わせてお好みのフォントを使用してください */
}
画面表示に必要なサイズ、フォーマットを以下のように記述します。
/* URL TextBox のサイズ指定 */
.urlinput
{
width: 600px;
}
/* 分析結果の表示テーブルのフォーマット指定 */
td.OutputTh
{
text-align: left;
vertical-align: top;
width: 300px;
}
/* 画像の表示フォーマット指定 */
#PhotoDiv{
position: relative;
}
/* 顔認識 (正方形) のフォーマット指定 */
#Rectangle
{
opacity: 0.5;
z-index: 10;
position: absolute;
display: none;
}
site.css を保存します。
###画面の確認
ここで index.html をブラウザーで開きます。
タイトルや URL 入力部分などが表示されるのを確認してください。
##Emotion API を 呼び出すロジックの作成 (script.js)
script.js をクリックしてエディター画面に表示します。
function() の中に画像を表示する showImage() と 画像を分析する getFaceInfo() が記述されています。ここからそれらのロジックを記述していきます。
$(function () {
showImage(); // 画像を画面に表示
getFaceInfo(); // 画像を分析
});
###画像を画面に表示する (showImage)
textBox に入力された文字列を imageUrl で取得して画面に表示するロジックを、function() 内部に以下のように記述します。
$(function () {
// 画像を画面に表示
var showImage = function () {
var imageUrl = $("#imageUrlTextbox").val();
if (imageUrl) {
$("#ImageToAnalyze").attr("src", imageUrl);
}
};
showImage(); // 画像を画面に表示
getFaceInfo(); // 画像を分析
});
###画像を分析する (getFaceInfo)
EmotionAPI の呼び出しに必要なパラメーターの取得、初期メッセージのセット
showImage の下に、getFaceInfo を追加します。
Emotion API の サブスクリプションキーとエンドポイントURL、画像URL、Emotion API の呼び出し URL を以下のように記述します。合わせて画面に表示する初期メッセージも記述しています。
エンドポイントURL は http://[データセンター名].api.cognitive.microsoft.com/v1.0 といった URL です。(サブスクリプションにより [データセンター名] の部分が異なります。)
webSvcUrl で指定する、http://[データセンター名].api.cognitive.microsoft.com/v1.0/recognize が Emotion API の呼び出し URL です。
$(function () {
// 画像を画面に表示
var showImage = function () {
:
省略
:
};
//画像の分析
var getFaceInfo = function () {
// Emotion API の Subscription Key と URL をセット
// サブスクリプション画面に表示される URL および Key をコピーしてください
var subscriptionKey = "YOUR_SUBKEY";
var endpoint = "YOUR_ENDPOINT";
// 画像 URL をセット
var imageUrl = $("#imageUrlTextbox").val();
// Emotion API 呼び出し URL をセット
var webSvcUrl = endpoint + "/recognize";
// 画面に表示するメッセージをセット
var outputDiv = $("#OutputDiv");
if(document.getElementById('imageUrlTextbox').value=="")
{
// 初期設定
outputDiv.text("画像のURLを入力してください");
}
else{
// 画像分析中
outputDiv.text("分析中...");
}
// Emotion API を呼び出すためのパラメーターをセットして呼び出し
// **次の項目で作成します**
};
showImage(); // 画像を画面に表示
getFaceInfo(); // 画像を分析
});
Emotion APIを呼び出して画像分析結果を取得
Emotion API を呼び出すパラメーターをセットして呼び出すロジックを下記のように記述します。
分析結果を取得できたかどうかは data.length を調べて判定します。
$(function () {
:
省略
:
var getFaceInfo = function () {
:
省略
:
// Emotion API を呼び出すためのパラメーターをセットして呼び出し
$.ajax({
type: "POST",
url: webSvcUrl,
headers: { "Ocp-Apim-Subscription-Key": subscriptionKey },
contentType: "application/json",
data: '{ "Url": "' + imageUrl + '" }'
}).done(function (data) {
// データが取得出来た場合
if (data.length > 0) {
// 検出された顔の表示位置を取得
// 画面に描画
// 検出された表情スコアを取得
// 表情スコアを表示
// **次の項目で作成します**
}
// データが取得できなかった場合
else {
outputDiv.text("検出できませんでした");
}
// エラー処理
}).fail(function (err) {
if(document.getElementById('imageUrlTextbox').value!="")
{
$("#OutputDiv").text("ERROR!" + err.responseText);
}
});
};
showImage();
getFaceInfo();
});
画像分析結果を加工して表示
取得した画像分析データ (顔の表示位置、表情スコア) を加工して表示するロジックを下記のように記述します。
画像に 正方形の画像 (image/Rectangle.png) を #Rectangle で重ね合わせて表示し、顔の表示位置を表します。表情スコアは小数点6位までを残して OutputText にセットし、outputDiv で表記します。
$(function () {
:
省略
:
var getFaceInfo = function () {
:
省略
:
// Emotion API を呼び出すためのパラメーターをセットして呼び出し
:
省略
:
// データが取得出来た場合
if (data.length > 0) {
// 検出された顔の表示位置を取得
var faceRectange = data[0].faceRectangle;
var faceWidth = faceRectange.width;
var faceHeight = faceRectange.height;
var faceLeft = faceRectange.left;
var faceTop = faceRectange.top;
// 画面に描画
$("#Rectangle").css("top", faceTop);
$("#Rectangle").css("left", faceLeft);
$("#Rectangle").css("height", faceHeight);
$("#Rectangle").css("width", faceHeight);
$("#Rectangle").css("display", "block");
//小数点6位までを残す関数 (表情スコアの丸めに利用)
function floatFormat( number ) {
return Math.round( number * Math.pow( 10 , 6 ) ) / Math.pow( 10 , 6 ) ;
}
// 検出された表情スコアを取得
var faceScore = data[0].scores;
var faceAnger = floatFormat(faceScore.anger);
var faceContempt = floatFormat(faceScore.contempt);
var faceDisgust = floatFormat(faceScore.disgust);
var faceFear = floatFormat(faceScore.fear);
var faceHappiness = floatFormat(faceScore.happiness);
var faceNeutral = floatFormat(faceScore.neutral);
var faceSadness = floatFormat(faceScore.sadness);
var faceSurprise = floatFormat(faceScore.surprise);
// 表情スコアを表示
var outputText = "";
outputText += "<h3>" + "結果:" + "</h3>";
outputText += "怒り : " + faceAnger + "<br>";
outputText += "軽蔑 : " + faceContempt + "<br>";
outputText += "ムカつき: " + faceDisgust + "<br>";
outputText += "恐れ : " + faceFear + "<br>";
outputText += "喜び : " + faceHappiness + "<br>";
outputText += "無表情 : " + faceNeutral + "<br>";
outputText += "悲しみ : " + faceSadness + "<br>";
outputText += "驚き : " + faceSurprise + "<br>";
outputDiv.html(outputText);
}
// データが取得できなかった場合
:
省略
:
};
showImage();
getFaceInfo();
});
URL変更時の動作 (再度分析&表示)
textBox が変更されたときに再度分析&表示するロジックを下記のように記述します。
顔の位置を示す正方形 (#Rectangle) を一旦消去します。(hideMakers)
$(function () {
// 画像を画面に表示
var showImage = function () {
:
省略
:
};
// 画像の分析
var getFaceInfo = function () {
:
省略
:
};
// 表示するものがない場合
var hideMarkers = function () {
$("#Rectangle").css("display", "none");
};
// URL が変更された場合(再度分析&表示)
$("#imageUrlTextbox").change(function () {
hideMarkers();
showImage();
getFaceInfo();
});
showImage();
getFaceInfo();
});
script.js を忘れずに保存します。
#アプリケーションの動作確認
index.html をブラウザーで開きます。
オンライン画像の URL (例えばこちら↓) をコピーして、テキストボックスにペーストします。
https://emotionwebsto.blob.core.windows.net/handson/emotionweb_happiness.jpg
#Appendix
同じソースを Web 公開しました。動作確認にご利用ください。
http://emotionwebsample.azurewebsites.net/
また、完成形のソースコードを GitHub にて公開しました。
https://github.com/a-n-n-i-e/CognitiveEmotionAPI-EmotionWeb-JS