はじめに
今まで組み込みOSやっていましたが、異動して仕事柄、「ドローン的な何かを使った何か」を少しウォッチすることになったため、2015/6/13に、OSS Japan主催の「OSSエンジニアのための(はじめての!)ドローン勉強会」に参加した。
日米の差
日米双方ドローンに対する規制があるが、以下の根本的に異なるスタンスがある。
国 | ドローンの扱い | 備考 |
---|---|---|
日本 | 模型飛行機 | ラジコンヘリコプターの延長 |
アメリカ | 航空機 | もともと軍用 |
アメリカでは大学で無人(というより遠隔)操縦するためのパイロットを育成している。
FAAという政府機関からライセンスを受ける。一度全部ドローンを禁止した上で、政府機関限定で許可。民間ビジネス利用は2015/9/30以降とのこと。
ここで、無人機は航空機と同様の扱いとしていることに注意。つまり、管制がしゃべっている言葉を理解し、場合によっては回避行動などが必要となる。
Amazonがセスナの免許所有者を採用していることは有名らしい。
さらに、副操縦士も必要。例えば操縦士がトイレに行くことを想定すればわかる。
日本は、模型飛行機という扱い故に航空法で飛行範囲に大きな縛りを受ける。さらに場合によっては条例の縛りも加わる。
歴史的な経緯から、倶楽部(民間団体)前提。ドローンは航空機でないので、航空法上の飛行許可はされない。
さらに、電波法の縛りもある。例えば、Youtubeに動画をアップして再生すると広告が表示される。それ故に商用扱いとなる。このことにより、アマチュア無線の電波を使ってFPVした動画をYoutubeにアップできない。陸上無線の3級以上が必要になる方向。
デバッグ
ちなみに、ドローンの規制が少ないのはカナダ。カナダでデバッグ(笑)。
シミュレータがあろうとも、どうしても実機を飛ばす試験は必要。そのときに地方に行かないといけないのは厳しい。首都圏で飛ばせる場所を作ることは急務であろう。(プライバシーの問題などで難しいけど)
Dronecodeについて
Dronecodeは、Linux Foundationがドローン関係のオープンソース、ハードウェアのプロジェクトを取りまとめる目的で組織している。
これまでのプロジェクトで有力なものはAPM/ArdupilotとPX4がある。Linux Foundationはこれらをまとめる役割を担おうとしている。
しかし、Linux Foundationだからといって、Linuxで全て賄おうとしていない。(事実、PX4は一部のPOSIX I/Fを持ったリアルタイムOSを使っている。もちろんオープンソースだ)
また、Linux実装もあるらしいのだが、リアルタイム機能のパッチがあたっているものである。(Linux実装については、筆者は未確認)
どちらかというと、APMのほうが古株で枯れて実績がある。しかし、PX4はARMの32bitの石を使っていて、ソフトウェアプラットフォームを見ると色々できそうなのはPX4である印象を承けた。
ドローンを外部から制御するソフトウェア
Dronecodeがドローン自体に組み込んでフライトコントローラやセンサを制御することを目的としている。
それとは別に外部からドローンを制御するためのソフトを書くプラットフォームには、Dronekitがある。
また、Scratchでドローンを外部から制御するためのソフトを書けるプラットフォームがTickleである。
実際に会場でデモンストレーションした人がいましたが、実際に動くものを見た瞬間本当に衝撃を受けました。プロトタイプを作るのには大変適していて、試したいことをすぐに試せる・・・。自分の勉強不足を痛感した瞬間でした。
その他雑談にて
備忘録的に箇条書きにします。
- 64bit H/Wプラットフォーム欲しい。OpenCVを実用的範囲で動かせるじゃん。個人的にはドローン側で何もかもをするのは実際的でなく、受信側の端末とドローン側での役割分担が重要になると感じます。
- 最初の講演のトピックで、室内で正確な位置情報(誤差30cm前後)をとるのにビーコンを使った実験をしている話がありましたが、個人的には興味ありました。室内の位置推定は日本ロボット学会(に限らず)の論文も出ていますし、難しい課題の一つです。
- ドローンを飛ばすシミュレータにはheli-xのようなソフトがある。練習に良い。
- 中国の「Zero UAV (Beijing) Intelligence Technology」という会社のどローンにはフライトコントローラが二重化されている。(ちなみに、ドローン業界の主な会社はここ参考にするとわかりやすい。
- PX4にはUnit Testがあったり、開発中とはいえシミュレータI/Fもあるんですね。ものがものだけに品質重要です。飛ばす場所が限られているし、ビッグバンテストをいきなりする勇気はとても私にはございません。よって、シミュレータ技術は今後の大きな課題になるのでは、と推定しています。
// 以上