「アジャイルサムライ」はかつて、一大センセーションを起こした本とうかがったが、自分は読んだことがなかった。
2011年出版。その頃自分はアジャイルのアの字も知らなかった気がする。
雑感
内容のほとんどは「今やっている開発」そのもので、大きな驚きはなかった。
逆に言うと、それだけ今のチームが「アジャイル開発を出来ている」ということかもしれない。
本を読みながら、今のチームと今の自分が
出来ていること (やっていること)
VS
出来ていないこと(やっていないこと)
を考えてみた。
大きな問題は小さくする
=> 当たり前のように出来ている。
ストーリーが広がってしまいそうな場合は、朝会で必ず誰かから「ストーリー分割したほうが良いんじゃないですか?」という声が上がる。適切な大きさでストーリーを進めて行けていると思う。
価値のある成果を毎週届ける
=> 当たり前のように出来ている。「成果を届けられない週」はない。むしろ「成果を届けられない週ってなんだろう?」ぐらいの感じ。
フィードバックを求める
フィードバックは行く手を照らすヘッドライトだ。
霧のたちこめる高速道路を時速100kmでかっ飛ばしながら、道に迷わないようにするためには絶対に欠かせない。
この部分は課題だと思う。
顧客からのリクエストはこなしているが、我々からフィードバックを積極的に求めることはない。
「作った機能がどのように役立っているか」ということを知る機会が非常に少ない。(ほとんどない)
たとえばスプリントレビューでも
「完了したこと」に関してはあまり話すことがなくて、
「今後のこと」に注意が向いてしまいがちだが
「完了したストーリー」に対してフィードバックを得ることも、同じぐらい重要なんじゃないかと思った。(フィードバックが今後のフィーチャーに対して、発想を広げてくれるかもしれない)
何らかの形で「あのフィーチャーはどうでしたか?」と聞く場面を設けられたら良いと思った。
対策
(カスタマーに対して)
- 案1. スプリントレビューに「フィーチャーのフィードバック」という時間を追加する。
- 案2. ランチ等、カジュアルな場で積極的に話題を出してみる。
- 案3. 開発チームの朝会 or 夕会に参加してもらう。
- 案4. フィーチャーをリリースした後に、それが実際にどうやって使われているのか。短時間でオペレーションを見学させてもらう。
デイリースタンドアップ(朝会/夕会)
デイリースタンドアップは、重要な情報をチーム内ですばやく共有することを目的にした集まりだ。
あらゆるミーティングを無くすための究極のミーティングがデイリースタンドアップだ。
=> 本書で推奨されている、10分という短い時間ではないものの、朝会は有効に機能しているように思える。この時間によって、ドメインに対する理解が深まり、各ストーリーで問題解決の糸口になっていると思う。
ただ自分自身を振り返ってみると、まだ「ただの進捗報告」になってしまっているなと思った。
「朝会のパターン:立ってるだけじゃないよ」
朝会の定義は非常に簡単なものなのに、 うまくいっていない朝会があって私はとても驚いた。
すぐに原因は分かったが、そのチームはそれが何なのか分かっていなかった。
朝会の基本原則と詳細を意識していなかったのだ。 そのために朝会の問題について診断や解決がなされていなかったわけだ。
状況の報告は普通の状況報告会議と大差がない。
決定的な違いは、マネージャではなく、チームがお互いに状況を更新し合うというメカニズムだろう。
状況を毎日更新することで、チームが今何をやっているかを少なくとも日次単位で確認することができる。
朝会/夕会でおこなっているのでは「報告」ではなく「ステートの更新(とその共有)だ」という考え方が、一番しっくり来た。
自分が改善したいこと
- 「自分の状況を明らかにする」ことで「チームの状況を明らかにする」ことにつなげる。
- 夕会の終わりの「何か気になっていることはありますか?」の時間を積極的に活用する。(「気になっていること」を共有することで、自分の問題が解決されるだけでなく、チーム共通の問題が明らかになる場合も多い。「BQ周りが最近不安定だよね」とか)
- チームメンバーの誰かと話したり、話して解決したことがあれば共有するようしてみる。
- その日の出来事を「点」としてではなく「ストーリー」として報告するようにしてみる。
- 「期待」や「懸念」を共有するようにしてみる。
- お互いに「期待」を伝えあうことで、よりチームが協調的に動けるようになるはず。
- たとえば「Aさんが今このストーリーをこなしてくれたら、チームが動きやすくなるだろうな」とか。
- 命令や決定ではなくて「期待」ぐらいの温度で伝えて良いこともたくさんあるはず。
あとは「ただの進捗報告」と「そうでない朝会/夕会」の違いは何かを考えてみると、
その場を「PDCAサイクルを回す場」だと捕らえているかどうかではないか、と思った。
案
- 朝会/夕会を効果測定の場だと考える。
- 「想定内だったこと」「想定外だったこと」を共有するようにしてみる。
経験値
- 他すべての経験と同じように「共有の仕方」も、改善を意識することで、毎日うまくなっていくのではないか。
- ただ進捗報告をするだけだと、いつまでも同じようなデイリースタンドアップになると思うが、「共有の仕方をレベルアップしていける」という立場に立てば、日ごとにスタンドアップのクオリティを高めていけるはず。
- すなわち、より自分の問題が解決しやすくなり、チームの問題が解決しやすくなるということ。
- 課題: 「自分の言うことを考えながら、他の人の話もちゃんと聞く」というのが案外難しい。(事前に自分が話すことはメモしているが、メモ自体のクオリティを上げて、事前に問題点等を明らかにしておくと良いかもしれない)
自分たちの定義
やっていない。
インセプションデッキをやりたいという話もいちど出たが、まだ出来ていない。
他の人に「どんな業務なの?」と聞かれた時に、ひとことで答えられるものがない。
アジャイルサムライには「もし自分たちの業務を”商品パッケージ”にして売り出すなら、どんなキャッチフレーズをつけるか」ということがには書かれていた。分かりやすい!
業務が多岐にわたるのでなかなか定義を見つけづらいが、
僕は自分たちの仕事を定義するとしたらこと。「コスト削減」「引き受ける」かなと思った。
「顧客が直接おこなうよりも、より良い形で仕事を引き受けること」=「広い意味でのコスト削減」が役割かなと思った。
「自分たちの定義」を知ることで、より目的が明らかになる。
目的が明らかになれば、舵を取りやすくなる。
舵を取りやすくなれば、きっとうまく航海してゆける。
おまかせください。
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