最近、義理を欠く仕事をしている人をSNSなどでもよく見かけます。
いわゆる恩を仇で返すパターンです。しかし、その不義理な仕事、一時的にはメリットをもたらしますが、長期的には大きなダメージとなって跳ね返ってきます。
※これはエンジニアと仕事をしている人向けに、不義理な仕事をしていると、長期的にあなたを苦しめますよとお伝えする記事です。
営業>エンジニアな立場の会社は多い現状…
一般的な組織において、エンジニアの立場は強くありません。
本来的には会社内はフラットであるものの、残念ながらお金を稼いでくる営業系の部署のほうが発言権が強くなります。
売上という経営に直結する重要な数字を作るプロフィットセンターである営業に対し、技術部門はコストセンターと認識されがちです。
その結果、エンジニアは営業系の人の意見に逆らうことできず、炎上案件に巻き込まれたり、営業から振り回されることがよく起きます。
人にはテイカー・ギバー・マッチャーの3タイプ
人の思考というのは、大きく分けて3つに分類することができます。
- テイカー
- ギバー
- マッチャー
テイカーは 「自分がより有益になるように持っていき、相手が望んでいることよりも自分の利益を優先していくタイプ」 です。
その反対の立場と言えるのがギバーで、「与えることに対し、見返りを期待することもなく、困っている人を助けるタイプ」 です。
テイカーとギバーの中間と言えるのが 「与えられなければ与えないし、何かをしてもらったら恩を返すというタイプ」 のマッチャーです。
程度の差はあるものの、定義的にMECE(ミーシー ※もれなくダブりなく)なので、人は必ずどこかに分類されます。
エンジニアにはギバーやマッチャーが多い
エンジニアという職種においては、テイカーよりもギバーやマッチャーのほうが割合が多いです。
もちろん、テイカーなエンジニアもいますが、OSSなどの無償開発があることからも、ギバーが多いことがわかります。
実際、エンジニアコミュニティでは「ペイフォワードの精神」が推奨されることも多く、これはギバーの思考とも重なりがあります。
また、組織上フロントに立つ機会が少ないため、頼られることに喜びを感じやすい傾向があります。
そのため、自分ができることを惜しげもなく披露し、無茶な要求もなんとか対応できないか頭をひねり、増えた工数の分だけ手を動かしてくれる方が多いです。
立場差を利用し、襲いかかるテイカー
しかし、そんなギバーが多いエンジニアに襲いかかるのがテイカーです。
職種が異なる営業系のテイカーは、あらゆる組織に存在しています。
顧客先からのキツイ要望をエンジニアに持ち帰ってきて、「なんとかお願い」という姿勢でエンジニアに確実に業務負荷が発生するであろう無茶な仕事を投げてきます。
中には自分のミスや調整不足が原因なのに、エンジニア側に尻拭いをさせるテイカーもいます。
さらに、テイカーは1度請け負ったら、「以前は引き受けてくれた」という過去の実績を武器に、それを当たり前にしてきます。
その上、テイカーはそうして成し遂げたプロジェクトの功績は自分の手柄にします。
表面上は感謝の言葉を述べていても、上司などへの報告にはエンジニアの協力という文字はなく、自分のアピールしかしていないことも多いです。
エンジニアは表には出さないが人を見ている
ただ、だからといって、エンジニアは何もしていないわけではありません。
エンジニアは一緒に仕事をする相手を注意深く観察しています。
理系出身が多いエンジニアは、観察能力を学生時代の実験を通じて磨いています。
あらゆる探究において、観察というプロセスは不可欠です。
それこそ、小学生の夏休みの宿題である 「アサガオの観察日記」。
同じ対象を毎日観察し、そこからどのように変化が生じているか見極める力を身につけることができるようになっています。
エンジニアの観察対象は、物事の事象というものにとどまらず、人も含まれています。
特にビジネス部門と仕事をして痛い目を受けた人は、二度と同じ轍を踏まないよう、対策を講じます。
不義理をする人とは最低レベルの仕事しかしないように
仕事相手を観察し、不義理な仕事を受けた場合、エンジニアはしっかり記録(記憶)しています。
不義理な仕事は、そのプロジェクト、タスクといった短期スパンでは、行った側に利益が出ます。
しかし、仕事というのは1回のプロジェクトで終わりではなく、その後もまた一緒に仕事することが出てきます。
その時にエンジニアは不義理をされた人だった場合、業務的に必要最低限の仕事しかしなくなります。
「仕事は恩の売り買い」 とも言われている中、その取引が通じない不義理な人に、エンジニアが恩を売ることはありません。
業務範囲の中で、できるだけ火の粉が及ばないようにマージンも多めに取るようになります。
意外とエンジニア同士の横連携で悪評が伝わる
エンジニアは、営業の人よりも社交的ではないと思われていますが、同じ職種内での交流は活発に行われています。
その中で、先程の不義理を行った人の情報というのは確実に伝播しています。
Aさん「こんど〇〇さんとプロジェクト組むんだけど、どんな人?」
Bさん「〇〇さんはヤバい。深入りすると大やけどするよ」
Aさん「マジ。じゃあ、ギチギチにして無茶言われたら押し返すようにしよう」
こんな情報交換がSlackなどで飛び交っているかもしれません。
要注意人物にリストアップされると、あらゆるエンジニアから最低限レベルの仕事しかしてもらえなくなります。
感謝の気持ちを忘れず、持ちつ持たれつ
では、エンジニアと仕事する人はどうすればよいのか?
答えは単純で、冒頭にお伝えした不義理な仕事をしないということです。
仕事においては「恩の売り買い」がベースなります。
両方に負担が平等になるケースは少なく、どちらか一方に負担が偏るケースが殆どです。
負担を強いた場合は、まず、感謝の気持ちを忘れてはいけません。
逆にエンジニア側のミスで負担を受けることもあります。
そうした場合には、持ちつ持たれつということで、カバーしましょう。
前述した負担を強いているのに、エンジニアのミスを責めたら、テイカーと判断されます。
なお、感謝の気持ちを持たないまま、感謝の言葉をペラペラを述べる人、要注意です。
前述した通り、エンジニアは本当に感謝しているか観察しています。
終わりに
営業部門系のテイカーで分類される方は、自分に都合がよく、エンジニア側に無理をさせる不義理な仕事をすることがあります。
しかし、エンジニアはそうした不義理な仕事を見ています。
不義理な仕事をする人とはエンジニアは必要最低限の仕事しかしなくなります。
短期的には利益が得られても、長期的は大きな損失です。
エンジニアと仕事される方はこのことを心に留めておいて下さい。