LoginSignup
7
12

More than 5 years have passed since last update.

航空機における搭乗戦略の最適化 - OR機関誌10月号より

Last updated at Posted at 2016-10-13

これなに

OR学会(問題解決学であるオペレーションズ・リサーチの研究者の集まり)の機関誌10月号は、学生たちのOR」特集となっており、大学生が取組んだ様々な卒業論文や修士論文などの要旨が30編、紹介されています。

この中から、適当に最適化の問題をピックアップしてPythonで解いてみたいと思います。
準備として、pandas, pulp, ortoolpy が必要です。環境構築は、組合せ最適化を使おうを参考にしてください。

航空機における搭乗戦略の最適化

論文「航空機における搭乗戦略の最適化」の問題を使わせてもらいましょう。

乗客6人を3グループに分ける。グループ1から順番に搭乗する。同一グループ内は、ランダムな順番とする。総搭乗時間を最小化したい。

考え方

座席$i$の乗客が先に搭乗し、座席$j$の乗客が後に乗った場合の混雑度$a_{ij}$を要素とする行列$A$が与えられるものとします。ここでは、単純に、この混雑度の総和を最小化(=混雑しない組合せの混雑度の最大化)をしましょう。また、同一グループでは、混雑度を半分とします。

混雑しない組合せの混雑度 = (j,iの順番に搭乗する場合の$a_{ij}$の和) + (i,jが同一グループの場合の$a_{ij}$の和)/2

Pythonで解く

まず、ランダムなデータを作成します。

python
import numpy as np, pandas as pd
from pulp import *
from ortoolpy import addvar, addvars

m, n = 3, 6 # グループ数と乗客数
rm, rn = range(m), range(n)
np.random.seed(1)
A = np.random.rand(n, n).round(3)
A[np.diag_indices(n)] = 0
A
>>>
array([[ 0.   ,  0.72 ,  0.   ,  0.302,  0.147,  0.092],
       [ 0.186,  0.   ,  0.397,  0.539,  0.419,  0.685],
       [ 0.204,  0.878,  0.   ,  0.67 ,  0.417,  0.559],
       [ 0.14 ,  0.198,  0.801,  0.   ,  0.313,  0.692],
       [ 0.876,  0.895,  0.085,  0.039,  0.   ,  0.878],
       [ 0.098,  0.421,  0.958,  0.533,  0.692,  0.   ]])

座席(Pos)の乗客がグループ(Group)かどうかを管理する変数表を作成します。

python
tg = pd.DataFrame(((i, j+1) for i in rn for j in rm), columns=['Pos', 'Group'])
tg['Var'] = addvars(len(tg), cat=LpBinary)
tg[:3]
Pos Group Var
0 0 1 v1
1 0 2 v2
2 0 3 v3

混雑度Aがかかるかどうかを管理する変数表を作成します。
VarNは、座席Firstに後に搭乗し、座席Secondに先に乗った場合を、
VarHは、座席Firstと座席Secondが同一グループの場合を表すものとします。

python
tp = pd.DataFrame(((i, j, A[i,j]) for i in rn for j in rn if A[i,j]),
    columns=['First', 'Second', 'A'])
tp['VarN'] = addvars(len(tp), cat=LpBinary)
tp['VarH'] = addvars(len(tp), cat=LpBinary)
tp[:3]
First Second A VarN VarH
0 0 1 0.720 v19 v48
1 0 3 0.302 v20 v49
2 0 4 0.147 v21 v50

定式化して解きます。制約式の説明は、面倒なので省略。

python
m = LpProblem(sense=LpMaximize) # 数理モデル
m += lpDot(tp.A, tp.VarN) + lpDot(tp.A, tp.VarH) / 2 # 目的関数
for i in rn:
    m += lpSum(tg[tg.Pos == i].Var) == 1 # 必ず何れかのグループに所属する
for _, r in tp.iterrows():
    tf = tg[tg.Pos == r.First]
    ts = tg[tg.Pos == r.Second]
    m += (lpDot(tf.Group, tf.Var) - lpDot(ts.Group, ts.Var) - 1)/n + 1 >= r.VarN
    m += (lpDot(tf.Group, tf.Var) - lpDot(ts.Group, ts.Var))/(n-1) + 1 >= r.VarH
    m += (lpDot(ts.Group, ts.Var) - lpDot(tf.Group, tf.Var))/(n-1) + 1 >= r.VarH
m.solve() # ソルバー(CBC)の実行
tg['Val'] = tg.Var.apply(value) # 結果
tg[tg.Val > 0] # 解の表示
Pos Group Var Val
1 0 2 v2 1.0
4 1 2 v5 1.0
8 2 3 v9 1.0
9 3 1 v10 1.0
14 4 3 v15 1.0
15 5 1 v16 1.0

座席(Pos)ごとのグループ(Group)が求まりました。
このアプローチは、離散変数が多いので、乗客数が増えると、計算時間が爆発します。その場合は、元の論文のように局所探索法などの近似解法が有効でしょう。

ORセミナーの紹介

11/12(土)に開かれる第3回ORセミナー(Python言語によるビジネスアナリティクス)では、最適化・統計分析・機械学習などのオペレーションズ・リサーチの分野で必要なツールの紹介があります。
このセミナーの参加者特典として、2016年度と2017年度の年会費+入会費が免除で、学会正会員になれます。正会員になると、上記、機関誌(年12冊)や論文誌を受取れたり、シンポジウムの無料参加などの特典があります。

以上

7
12
1

Register as a new user and use Qiita more conveniently

  1. You get articles that match your needs
  2. You can efficiently read back useful information
  3. You can use dark theme
What you can do with signing up
7
12