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Nemerle入門Ⅰ ~インストール,言語説明,C#に近い機能の説明~

Last updated at Posted at 2016-02-21

筆者の動作環境は,Nemerle入門の目次をご覧ください.

ダウンロードとインストール

このページからダウンロードできます.
残念ながら,最近のVisual Studioには拡張機能が対応していません.

Nemerleとは

C#,Lisp,Ruby,Python等,沢山の言語機能を詰め合わせた.NET Frameworkで動く言語です.

Macro(メタプログラミング)

Nemerleの注目機能の一つ,Macroによって,柔軟なメタプログラミングができます.
今後紹介する,if文,foreach文などの文はほとんどMacroによって実装されています.色々工夫すれば,Nemerleを様々な言語の書き方で書けるようになります.この機能によって,アスペクト指向プログラミング,部分評価,ドメイン固有言語の組み込みとかできるらしいです.(Wikipediaより)

関数型プログラミングがC#よりもやりやすく,F#よりC#風に書ける

Nemerleはそれぞれの言語の良さを取り入れている(主観)ので,イケてます.

イケてる型推論

型推論
def li = List(); //コンストラクタで初期化
//liはジェネリック型List[T]と宣言される
def n = 1;
//int型のnを宣言,1を代入
li.Add(n);
//liはList[int]と型推論される.
li.Add("Nemerle");
//デキナイヨ

もちろん,C#はできません.

型推論
var li = new List<>(); //Compile Error!
//デキナイヨ
var n = 1;
//int型のnを宣言,1を代入
li.Add(n);
//だからliってナンゾヤ
li.Add("Nemerle");
//だから,デキナイヨ

プロジェクトの作成,どこにコード書く?

Visual Studioから新しいNemerleConosleProjectを作ってください.
こんな感じのソースコードが出てくるはずです.

Main.n
using Nemerle.Collections;
using Nemerle.Text;
using Nemerle.Utility;

using System;
using System.Collections.Generic;
using System.Console;
using System.Linq;

module Program
{
  Main() : void
  {
    WriteLine("Hi!");
    _ = ReadLine();
  }
}

実行してみて,"Hi!"が表示されて,なんか入力して,Enter押すと黒画面が閉じるはずです.
これから,"WriteLine("Hi!")"の部分を書き換えていきます.

変数・定数,初期化,代入(束縛)

宣言

mutable name : type = value
def name : type = value

または

mutable name = value
def name = value

nameには変数名,typeには型名,valueは値を入れます.
変数はmutable,定数はdefを用います.
上は,型を指定して宣言,下は,型推論をしています.型推論の場合,宣言時に型がわかるような代入・初期化をしなくても結構です.

型推論
mutable x = null; //xってどうなるの?
x = Console.ReadLine(); //ReadLineの戻り値はstring.すなわち,xはstring型なのか!!

初期化(コンストラクタの呼び出し)

intなど,プリミティブ型などは,def hoge = 1で結構ですが,その他は,コンストラクタを呼ぶ必要があります.ここでは,一般的な型のコンストラクタの呼び出しを説明します.

コンストラクタ
def name = type_name(arguments) //非ジェネリック型
//例
    def string_builder = StringBuilder();

def name = type_name.[T](arguments) //ジェネリック型
//例
    def lazy_object = Lazy.[string]();

クラス変数を指定しながら初期化

文法がC#と少し違います.

コンストラクタとクラス変数の指定
class some {
  public n : int;
  public m : int;
  public this() {
    WriteLine("Constractor is called.");
  }
}

def s : some = some() <- {
  n = 0;
  m = 0;
}

代入(束縛)

C#などと同じ "=" イコールで代入します.

プリミティブ型

C#と全く同じです.

条件分岐

条件分岐に関す売る演算子(比較演算子,条件演算子)

C#と同じです.

条件がTrueの場合,Falseの場合で分岐させる(if文)

if
if(condition) {
  A
} else {
  B
}

両方共,conditionがTrueの時は,Aのコードを,Falseの時は,Bのコードを実行します.
C#のようにカッコを省略することができます.しかし,elseは省略できません.

条件がTrueの場合のみ実行する(when文)

when
when(condition) {
  Code
}

conditionがTrueの時,Codeが実行されます.

条件がFalseの場合のみ実行する(unless文)

unless
unless(condition) {
  Code
}

conditionがFalseの時,Codeが実行されます.
(when文で,論理否定演算子使って済ませることが自分は多いので,影が薄い文です.)

コメント

C#,C++と同じです.

comments
//一行コメント
/*
   複数行コメント
*/

スプリクト言語風書き方

プロジェクト作成時のMain.nは,(usingの部分は省いてます.)

Main.n
module Program {
  Main() : void {
    WriteLine("Hi!");
    _ = ReadLine();
  }
}

こうなっていたと思います.これらをコメントアウトしてください.(Ctrl + K,C)
そして以下のソースコードをコピペして,実行してみてください.

Main.n
WriteLine("Hi!");
_ = ReadLine();


実行できましたね?このように,スクリプト言語のように書くこともできます.
(C# 10にも同様の機能が実装されました.)

アクセス修飾子

publicやprivate等,C#と同じです
現在,

static,volatile,partial

これらもC#と同じです.

メソッド

Method
Method_Name(Parm1 : type, Param2 : type...) : Return_Type {
  Code
}

書式はこんな感じ.F#っぽいかな?これだけ見てもわからないので,具体例を示しましょう.

Method
void HogeHogeMethod(int start, int count) {
  //DoSomething
} //C#
Method
let hogeHogeMethod (start : int, count : int) =
  //DoSomething
  ()
Method
HogeHogeMethod(start : int, count : int) : void {
  //DoSomething
} //Nemerle

上の3つはほぼ同じです.
書き方はC#をF#みたく書いた感じでしょうか.
属性の付け方はC#と同じです.

関数

C#ならば,

return
int Add(int x, int y) {
  return x + y;
}

ですが,Nemerleでは,returnは要りません.最後の式の戻り値が返されます.

return
Add(x : int, y : int) : int {
  x + y;
}

namespace

C#/VB.netのnamespaceと同じです.

namespace
namespace hoge {
  class hoge {
    ...
  }

  module hogeUtil {
    ...
  }
}

class

C#/Vb.netのclassと同じです.
クラスを定義することができます.
クラスの定義の仕方は後で詳しく説明します.

class
class hoge {
  mutable a : int;
}

Main() : void {
  def h = hoge();
  h.a = 0;
  WriteLine(h.a);  // 0
}

module

VisualBasic .Netのmoduleと同じです.C#で言う,static classのようなものです.
moduleの中に書いた物は自動的にStaticになります.
インスタンス化はできないので,通常のクラスのコンストラクタなどは作れません.

module
module Num {
  Add(x : int, y : int) : void {
    x + y
  }
}

Main() : void {
  Console.WriteLine(Num.Add(3, 5)); // 8
  def n : Num = Num(); // Error!!
}

クラスの定義

Nemerleでも,もちろん.Netのクラスを定義することができます.他の言語と同じで,プロパティなども定義することができます.そこまで,C#/VB .netと差異は無いので軽く流します.

class
class IntPair {
  mutable a : int; //メンバ変数(アクセス修飾子がないので,自動的にprivateになる)
  public mutable b : int; //アクセス修飾子がつけられる
  private c : int; //局所定数(変更はできない)
  static class_name : string = "IntPair";
    //staticをつければ静的に,”=”で代入もできる

  public A : int { //プロパティ,C#と同じなので,そこまで気にしなくていい
    get{
      WriteLine("A is called!");
      a;
    } set{
      a = value;
    }
  }

  public D : int { get; } //getオンリーなプロパティもこの一行でおk

  public this() { //コンストラクタ
    a = 0;
    b = 0:
    c = 0;
  }

  public static this() { //静的なコンストラクタ
    WriteLine("IntPair!");
  }
}

残念ながら,C# 9のinitには対応していません.

構造体: struct

classではなく,structにすることで構造体を生成できます.

struct
struct StructBox {
  public mutable x : double = 0;
  public mutable y : double = 0;
}

レコード: Record

classもしくはstruct[Record]マクロをつけると,C# 10のレコードのようになります.

record
[Record]
class Point {
  public mutable x : double = 0;
  public mutable y : double = 0;
}

キャスト

Nemerleにキャストは2種類あります.

厳密な型変換(:)

コンパイル時にチェックされ,型変換できるかわからない時は,コンパイルエラーを吐きます.

type_enforcement
def s : short = 72;
WriteLine(200000000 / (s : long)); // short → longは元がどんな状態でも変換できるので,おk

def obj : object = 18;
WriteLine(200000000 / (obj : long)); // Compile Error!

普通の型変換(:>)

実行時にチェックされ,失敗した場合,InvalidCastExceptionを投げます.

type_cast
def a : object = "abc";
WriteLine(20000000 / (a :> long)); // コンパイルエラーはないけど,例外投げる

おわりに

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