はじめに
「たった1人で、ここまでのプロダクトを作れるのか?」
プロンプトからゲームを生成するプラットフォーム「DreamCore」。その圧倒的な開発スピードと、ユーザーの声を即座に反映する改善サイクルを見て、多くのエンジニアが驚愕しました。
その開発エンジニアが1人と聞いていたが、その実態は「孤独なソロ開発」ではありませんでした。
開発を担うのは、りくお氏ただ1人。そこに加わるのは、複数のAIエージェントたち。人間1人とAIの「チーム戦」だったのです。
本記事では、GIFTechの佐藤貴子とりくお氏が実践する1人で10人分のアウトプットを出すためのAIネイティブな開発スタック(Cursor/Composer, Devin, Linear)の全貌に迫ります。いかにして最先端のプロダクト開発にAIが活かされているのか。
「AIに仕事を奪われる」と恐れるのではなく、「AIを使い倒してクリエイターになる」ためのヒントがここにあります。
登壇者プロフィール
りくお
株式会社NEIGHBOR リードテック。
小中学生の頃からゲーム開発を始め、現在はジェネレーティブAIゲームプラットフォーム「DreamCore」を開発・運営している。国立東京工業高等専門学校を2025年に卒業し、同年より株式会社NEIGHBORのリードテックとしてDreamCoreの開発を牽引している。
佐藤 貴子
GIFTech エンジニア
株式会社レアゾン・ホールディングスにてフードデリバリーアプリ「menu」のエンジニアを経て、現在はエンジニアのモノ創りを楽しむ才能を応援するプロジェクト「GIFTech」に従事。「N1エンジニアリング」を掲げ、伝統工芸×AIなどの新規事業開発やハッカソン運営を行う。伝統工芸のプロジェクトにてAI駆動開発を用いたチーム開発のリーダーを勤める。
対談本編
「勉強」ではなく「ゲーム」として始まったプログラミング
佐藤:
本日はありがとうございます! りくおさんのご経歴、リサーチさせていただいたんですが、プログラミングを始めたのは小学生の頃だそうですね。
りくお:
はい、小5か小6くらいですね。最初はScratchでゲームを作っていました。父に「最近こういうのが流行ってるよ」と教えてもらったのがきっかけで。当時、作ったゲームがプラットフォーム内でバズって、2万人くらいに遊んでもらえたんです。
佐藤:
2万人はすごいですね!小学生でその成功体験は強烈そうです。
りくお:
そうなんです。自分が作ったものを他人が楽しんでくれる、という体験が原点ですね。当時は『マリオメーカー』が出る前だったんですが、自分でステージを作って公開できる機能を入れたら、みんなが遊んでくれて。
その後、中学生でPython、高専時代にはUnityでスマホゲームを作っていました。
佐藤:
高専時代もゲームですか?
りくお:
はい。学校内で流行らせたくて「ランキング機能」をつけたら、一気に広がりましたね。友達が友達と競い合って、気づけば知らない学年の人まで遊んでいる、みたいな(笑)。
その頃から、チーム開発というよりは、0から1を自分で全部作り切るのが好きでした。
佐藤:
わかります。私たちGIFTechも「0→1開発」や「物作りを楽しむ」ことをすごく大切にしています。
最近だと「N1エンジニアリング」といって、たった一人のユーザーのために開発するプロジェクトをやっているんです。例えば、伝統工芸の職人さんのために、AIで商品デザインを生成するアプリを作ったり。
りくお:
伝統工芸ですか!面白そうですね。
佐藤:
そうなんです。職人さんの「世界で何が売れるかわからない」という課題に対して、現地のトレンドや職人さんの技術(暗黙知)をAIに学習させて、デザイン案を出すアプリを開発しました。
今日は、りくおさんがDreeamCoreで活用しているAIの技術も深掘りさせていただきたいです!
1人で10人分を回す「AIネイティブ」な開発スタック
佐藤:
エンジニア読者が一番気になっているであろう「DreamCore」の開発体制について聞かせてください。
あのスピード感で、UIも頻繁に変わっていますが、本当にお一人で回しているんですか?
りくお:
はい。開発は僕1人で回しています。あとはデザイナーさんやインターンの方が少し手伝ってくれていますが、コアの開発は僕になります。
佐藤:
本当にりくおさんお一人なのですね!?その規模であのアウトプット量は信じられないのですが、どうやっているのでしょうか?
りくお:
もう、AIをフル活用して「自動化」しているからですね。
僕たちのチームでは、Linear(ライナー)というタスク管理ツールと、自律型AIエンジニアのDevin、そしてエディタのCursorを組み合わせています。
佐藤:
詳しく聞きたいです。具体的にどう使い分けているのですか?
りくお:
まず、チャットツールのDiscordとLinearを連携させています。
Discordで「こういうバグがある」「この機能直したい」という話が出たら、コマンド一つでLinearにチケット(タスク)を切ります。
そうすると、Devinが勝手にそのチケットを拾って、コードを修正し、プルリクエストまで作ってくれるんです。
佐藤:
そこまで自動化されているのですね!
私も今回のプロジェクトでチーム開発をしていましたがCI/CD周りの構築で、タスク実行の自動化までは手が回らずでして...。開発フェーズによってどこまで自動化するかが大切ですね。
自動化された環境の中で、りくおさんご自身は、どのような対応をしているのでしょう?
りくお:
そうですね、DreamCoreは運用フェーズにも入っているので自動化に移れました。
人間は、Devinが上げてきたプルリクをチェックして、マージボタンを押すだけです(笑)。
細かいバグ修正やUIの微調整といった「100を101にする作業」は、ほとんどDevinに任せています。これによって、僕自身はアーキテクチャの設計や、0→1の基盤開発といった「人間にしかできない仕事」に集中できるんです。
佐藤:
すごい……まさに「AI社員」がいる感覚ですね。
ご自身でコードを書く時は何を使っていますか?
りくお:
使い分けをしておりますが、最近はCursor の「Composer 1」というモデルがお気に入りで。
自分の脳をフル回転させてロジックを組みたい時はCursorのComposer 1を使い、逆に定型的な作業や、時間がかかるバグの原因調査などはClaude Code(CLIツール)やDevinに投げる、という使い分けをしています。
佐藤:
なるほど。先日のCursor Meetup Tokyo #2ではcheetahがアツいと聞いておりましたが、今はComposer 1なのですね!!流れが早すぎますね(笑)
「脳の拡張」としてのCursorと、「手足の代替」としてのDevin/Claude Codeという役割分担なんですね。
「セキュリティ事故」から学んだアーキテクチャ論
佐藤:
一方で、少人数開発だとセキュリティ面などの不安はありませんか?以前、X(旧Twitter)で少し話題になっていた件もありましたが……。
りくお:
ああ、インジェクションの件ですね。あれは正直、僕の優先順位付けのミスでした。ユーザーがコードを投稿できるプラットフォームの性質上リスクがあることは設計段階で分かっていたんですが、当時はProduct Hunt向けの開発に必死で、対応の優先度を下げてしまっていて。
佐藤:
スタートアップあるあるですね。スピードとリスクの天秤というか。私もMVP開発やフェーズでどこまで対応するのかの天秤をかけています。
りくお:
はい。ただ、指摘を受けてからは脆弱性に関わる機能の一部を止めて調査・修正を行い、その後プロのセキュリティ専門家にコード全体を監査してもらいました。その結果、第三者による不正利用や情報漏えいといった大きな被害は発生しませんでした。
もともとサービス全体として「ユーザーから不要な情報をむやみに集めない」「センシティブな情報は自社で持たない」という設計を徹底していたので、その点は機能していたと思います。
りくお:
まだユーザー規模が小さいタイミングで公に指摘が入り、問題が顕在化したことで、結果的には大きな事故になる前にリスクを潰し切れたという感覚もあります。少人数チームなので、決済や認証のような要所は自前で一から作るのではなく、Stripeのような専門SaaSやセキュリティのプロの知見を前提に設計する。その方針を取っていたから致命傷を避けられ、重要性がよりはっきりと分かったので、今後も徹底していこうと考えています。
佐藤:
設計段階でしっかりと把握していること、責務の分散の重要性ですね。
Xでも拝見しておりましたが、スピード感ある対応。そしてしっかりと社内でコミュニケーションをとった上での判断。またXのコメントでのエンジニア陣の温かい言葉に、エンジニアの環境は素敵だなと改めて感じました。
「エキスパート」と「プログラマー」の両端へ
佐藤:
最後に、これからのエンジニアのキャリアについて、どう考えていますか?今後はチームを拡大していくとのことですが。
りくお:
はい、これからはチーム開発にシフトしていきます。
求めている人材は「両端」ですね。
一つは、AIにはまだ難しい高度な設計や意思決定ができる熟練エンジニア(エキスパート)。
もう一つは、AIを使いこなして爆速で実装を完遂できる手を動かせる人(プログラマー) です。
佐藤:
その両端が揃えばかなり心強いチームが形成できますね。私自身もまだまだ未熟であるため、社内のエキスパートエンジニアに相談をさせていただいています。そこから学び、実際にプロジェクトで実行しているため、かなり成長に繋がっていますね。
りくお:
今の時代は、プログラミングを勉強だと思わない人にとっては最高の時代です。
僕も技術書から入ったことは一度もなくて、常に「これを作りたい!」が先にあって、必要な技術をその場その場でつまみ食いしてきました。
今はAIという最強の攻略本兼パートナーがいるので、ゲーム感覚でどんどんモノ作りを楽しんでほしいですね。
佐藤:
「プログラミングは勉強じゃなくてゲーム」。
Scratchでランキングを競わせていた少年時代から、りくおさんの根底にあるのはその「遊び心」なんですね。
本日は刺激的なお話をありがとうございました!
5. まとめ
- 1人で10人分のアウトプット: DreamCoreの開発は、Linear(タスク管理) と連携したDevin が、バグ修正や微調整を自動でこなすことで、少人数での高速開発を実現している。
- AI駆動での使い分け: クリエイティブな設計にはCursor (Composer 1)を使い、時間のかかる調査や修正はClaude CodeやDevinに任せるという「適材適所」のAI活用を行っている。
- 未来のエンジニア像: AI時代に求められるのは、AIを指揮できる「エキスパート(アーキテクト)」か、AIと共に爆速で動ける「プログラマー(ドゥーワー)」。プログラミングを「勉強」ではなく「ゲーム」として楽しむ姿勢が重要。
□ NEIGHBORではエンジニアを募集中
DreamCoreの開発チームでは、現在エンジニアを積極採用しています。
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お問い合わせ:代表ノトフ氏のXまで
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