この記事はMonstar Lab, Inc. Advent Calendar 2016 9日目の記事です。
モンスター・ラボ の 平田 です。
去る2016年12月5~7日に『IVS CTO Night & Day 2016 Winter』というCTO、CTO相当職及び元CTOを対象とした招待制オフサイト・カンファレンスに参加してきました。
著名なCTOによるkeynoteや、参加者自身が出したテーマを基にしたグループ・ディスカッション、AWSの最新情報や技術情報に関するモーニングセッション、パーティーや飲み会でのCTOの方々との交流など、多くのイベントがあり、カンファレンスを通じて多くのことが学ぶことができました。持ち帰って仕事に活かすことができるようにせねば、と身が引き締まる思いです。
カンファレンスの様子は東京で働くソリューションアーキテクトさんのこちらのブログシリーズに詳しくレポートされていますのでご一読を。東京で働くSAさん、ありがとうございます!
いま時点で反芻できていることについての散文
とても多くのことを勉強させてもらえるカンファレンスでしたが、いま時点で反芻できていることについて書いてみます。
採用について
採用はいつでも難しいテーマです。どういう人を探したいのか、どのように良い人と出会うのか、どのようにその人を深く知るのか、色々テーマはあります。面接に至る前にも、以下のような判断基準で求職者を知ろうと努力します。
- 履歴書
- 紹介者
- GitHub
- オープンソース活動
- ブログ・Qiita
これらの方法も有効には違いない。ですが、こういったアウトプットがない場合には適切な判断ができない、あっても時間がかかるし簡単でもない、といった悩みは尽きません。
今回、トレタCTOの @masuidrive さんの呼びかけで その人の考え方や性格をもっと深く知る手軽な方法はないのか? 応募する方も見る方も高い負荷をかけない別の良い方法はないのか? といったテーマでグループ・ディスカッションを行いました。私の参加したグループのディスカッション・ログはこのgithubのPRにあります。
今度、試してみたいと思ったのが「僕が考える最強の◯◯」といったタイトルで、400から600文字程度のエッセイを書いてもらうというものです。
◯◯の部分は応募者へのメッセージになります。経験年数や採用したいポジションで問いたいものは変わってきます。分量も多くなく、書く側も読む側も楽しめそうです。点数がつくものでもなく、答えも一意でない、考え方がにじみ出てきそうな良い質問だと思いませんか?
以前、モンスター・ラボ新人の @mlspinylobster が応募の際に、自己紹介のエッセイを書いてよこしたことがありました。おかげで彼の考え方や性格を深く知ることが出来た経験もあり、とても良い方法なのではないかと思います。
他にも「どういう人を探す?」という質問に対して、検索スキルが高い人。ゴミ情報を取り除いて役立つものを探すことが出来る人。地頭が良いじゃなく、回転が速い人。 など、たしかにそうかも、と思う具体的な観点もあり参考になりました。
難しい技術について
難しい技術はやらない。ありものをうまく組み立てる。どこにでもある技術でわーおをやる。超基礎技術はやらない。R&Dは割り切ってやらない。逆に、どの技術を使うと安くできる。とか、普通の人が使わないものにはアンテナを貼っている。
Serverless is not only API Gateway + Lambda
AWSのサーバレスというと、APIGatewat + Lambda を想像しがちだけど、AWSの考えるサーバレスはこういったものだ。
Serverless = No servers to manage and scale
管理したりスケールさせるサーバがない。だから、S3などもサーバレスの重要なパーツだ。今だと16個ぐらいのサーバレスなサービスがある。
芸風に合わないことはやらない
オムロンCTO 宮田さんによるとても素敵なセッションがありました。Web業界とメーカーと畑は違えど、企業の規模は違えど、技術経営を考える時の基本的な考え方には、多くのことを学ぶことができました。「芸風に合わないことはやらない」など関西を感じるキーワードが随所に散りばめられておりグッときました。
オムロンの芸風は顧客密着。困りごとを先回りして技術で課題を解決する。あくまでニーズ起点/顧客価値起点で考えるのであって、技術起点のソリューション考案はない。闘う指標は先進性や難易度というより品質。血圧計であれば、特殊な状況、子供、不整脈、こういったイレギュラーな状況でも品質を保てるか。オムロンの技術の強みが活きる超具体的な難問が存在するか。などなど
モンスター・ラボの芸風ってなんだろう?
スピード感を持ってトライを繰り返す。「多産の仕組み」をつくる
誰かが何かをやりたいといったら、それを支援したい。多産多種の支援。できるだけ金をかけずに高速にトライしたい。
技術の進歩が速い中、求められることのレベルは高まっている。自社の手に余る技術的課題が多数ある。だから会社の壁を越えて取り組むことが増えてきたら面白くなる。自分達が持っているものは積極的に出して多様なアイデアとの交わりの中から将来の事業の卵を次々と生み出す。
新しい取り組みに対するモニタリングはどうやっている?
経営層では進捗管理はやらない。こういうテーマに取り組むということを合意する。取り組み内容の確認には、決まった方法はない。個別に内容を見ていく。一番の問題は誰も関心を示さなくなってリビングデッドになることだ。誰も見向きもせず進まなくなってしまうのを防ぐことが大事。誰かが興味を持って見ていること、注目していることが重要で、見ていれば自然とディスカッションになるし、取り組みも進んでいく。
省みると、課題や対策を書き連ねては消えていった数々のスプレッドシート達のことが思い出された。
技術一辺倒と技術軽視のバランスについて
技術は手段であって目的にならないようにすべき、という観点で話しをすると、出来さえすればなんでもいいという技術軽視に陥ることがある。一方で新しい技術が出た時に、これが使いたいから、という理由で選択するのは技術一辺倒過ぎる。バランスを取ることが重要だ。
事例にこだわりすぎる。最新技術に事例があるはずがない。
まずはやってみよう、少なくとも試そう。
例) ELBログを取っているなら今すぐAthenaでクエリできるぞ
積極的に飛び込み先行者利益を得る。先進性、メディア露出、ブランディング
CTOはよく飲み、よくしゃべる
CTOたちは情報感度がとても高い。技術だけじゃなく、色んなことをよく知っている人が実に多い。だからよくしゃべるし、飲みは長い。午前2時のラーメン屋でも話しは尽きない。3連チャンで飲みに行ったCTOも多くいたはずだ。
最後に
振り返ると、どれも正解があるわけでもなく、幅広い観点で何を選択していくのか、そういった技術的難問に取り組んでいるのがCTOだと思いました。他にもここには書きづらいことも多々あるIVS CTO Night and Dayでしたが、とても楽しんで参加できました。真夜中の先斗町を歩く舞妓さんを見かけて京都って素晴らしいと思いました。
次は10日目の @takachan さんです。楽しみですね。