株式会社LITALICOでインフラエンジニアをやっています。@5kakrです。
LITALICO Advent Calendar 2016も折り返しを過ぎ、14日目の記事となります。
昨日の@klrutsaさんのご案内とは内容を変えまして、
今回は社内ITインフラの中でも無線LANをどう安定的に使っていくかを書いていきたいと思います。
そもそも無線LANは安定しない?
一昔前は「無線LANは有線LANに比べて、遅いしすぐ切れる」というイメージをみんな持ってました。
オフィスのネットワークに導入しようものなら、「止めてくれ!」という声も上がったりしました。
その原因としては、以下の様な特徴があります。
- 1つのアクセスポイントで処理できるPC台数が少ない
- 無線のパケットロスが発生すると、再送のため時間がかかる
- アクセスポイントを増やそうにも、使用できる電波のチャンネルが少なく、干渉が起きてしまう
今では技術革新が進んで、これら問題はかなり改善されています。
コラボレーションを重視する今の働き方では、フリーデスク環境のため必須となっていて、無線のオフィス環境なんて当たり前になりました。
では、今は手放しで利用できるか
技術が向上しても、特に気にせず導入すると、やはり安定しない。「自分だけは有線LANを用意して」なんて声も上がってきたりしちゃいます。
安定的に使っていくために
オフィス環境では人数と利用場所に合わせて複数台アクセスポイントを設置する必要があります。
高密度のオフィス環境で安定的に使うためのポイントを以下にまとめました。
電波チャンネルの見直し
無線LANにはやり取りを行う電波の周波数帯(チャンネル)を分けることが必要で、同じチャンネルに設定していると干渉が発生し、通信に影響が出てしまいます。
周波数 | 到着範囲 | チャンネル数 | 電波干渉 |
---|---|---|---|
2.4GHz | 広い | 14ch | 密集するため干渉が大きい |
5GHz | 狭い | 19ch | 外来電波の影響で落ちることがある |
最近の無線機器はお互いの無線アクセスポイントが連携して、自動的に利用チャンネルを選択する機能がありますが、これを利用すると意図せず重なってしまうことがあるため、明確なチャネル設計が必要になっている現状です。
###2.4GHz帯は近隣の利用帯域から外す
2.4GHz帯は、到着範囲が広いため、上下左右の建物の電波も届いてしまいます。
InSSIDerなどのソフトウェアを利用し、他の電波の強さを測る必要があります。
###5GHz帯は各種レーダーの影響から外す
5GHz帯は選べるチャネルも多いため、2.4GHz帯と比べ、同一エリアに設置できるアクセスポイント数が多くできます。さらに、最新製品では1.7Gbpsというスピードを出せるという魅力的なチャンネルです。
しかしながら、5GHzを使うにおいて見過ごせない特徴(弊害)があります。
それは、チャンネル数を広げたため、気象レーダーや空港レーダーが利用する周波数帯と重なってしまい、
レーダーを感知したら30秒間通信を止めるという機能が義務化されているためです。
この30秒間はユーザーにとってはネットワークダウンとなり、とても大きな影響となります。
そのため、5GHzを使う場合は、速度よりも影響を受けないチャンネルを選ぶことが大切です。
※以下図の青色部分が現在無線LANで利用できる周波数帯で、5.2GHz以外はレーダーの影響が受けてしまいます。
参考:総務省 「5GHz帯無線LANの周波数帯拡張等に係る技術的条件」の検討開始について
通信速度の管理
アクセスポイントは1台に対して複数デバイスが接続する(多い時は50人とか)機械です。ユーザーの一人が大量通信をしてしまうと他のユーザーの通信が遅くなるという現象が発生します。
そのため、チャンネルのほかに通信量の管理が必要です。
利用データ量を監視し、制限をかける
例えば、以下の様な大量データのやり取りする通信は上限を設けることで通信の膨張を防ぎ、利用者全員に公平な環境を作ることができます。
- OSアップデート
- 動画閲覧
- 社外ゲスト用のネットワークを提供しているのであればそれも
#おわりに
知っている人にとっては当たり前の情報となってしまいましたが、無線LANの運用について改めて記載させていただきました。
マインド的なポイントとしては、「スピードを求めるより、切れたり遅くなることなく一定に使えること」が無線LANに対する信頼を上げていくものかと思います。
明日は@daisukehさんが「Arduinoを使ったサイクリングナビ」を書いてくれます!
お楽しみに!!